今年、就職活動をする学生に勧める企業への質問

東北関東大震災、それによる津波、また福島第一原発の1号機から4号機までの立て続けの事故と未曾有の災害に見舞われている中で、自分の働いている会社とTwitter、ニュース、その他のソースから伝え聞く他の会社との比較で感じたことを書きます。

まず、第一にこういう非常時こそ、その人なり、会社の本質が見えるような気がします。普段、通常時には見えない差が緊急時、非常時には大きな差として見えてくるわけです。非常時の判断は、通常よりもトレードオフが多い判断を要求されますから、そもそもその企業が本質的に持っている考え方、企業が重要と思っている考え方に従って、そのトレードオフのどちらを取るのかを決めることになります。

組織は人なりだか、会社は人なりだかそんな言葉があったと思いますが、そういうことを通常時はどの会社も言います。こと、就職活動のイベントなんかでは、学生からの見てくれをよくするために人材を大切にしているとか、社員教育を重要視しているとか、社員を大切にしていることをアピールするのはある意味当然です。

しかし、それは、お化粧のような物で本質がそうであるとは限りません。では、どうしたらその本質が分かるのかといえば、今回の東北関東大震災のときに各企業が取った行動、判断をよく見れば分かる気がします。

人間だれしも、従業員を本当の意味で大切にする会社に入りたいと思うでしょうから、そういう意味で以下の質問は、今年就職活動を行う学生の人が企業の本質を見極める上でお勧めです。

「今回の東北関東大震災の時、首都圏の事業所に勤める社員を原則自宅待機させるという判断をしましたか?それとも通常通り原則出社という判断をしましたか?また、その判断はどのタイミングでしましたか?」

電力供給不足が明らかになり、計画停電が予定され、電車の減便・運休が行われた週明けの月曜日、当然、交通機関の大混乱が想像されるわけですが、その中でも社員を出社させることにどれだけの意味があるのだろうかと個人的には思っています。当然、人の生死に関わる仕事、社会的に止められない仕事はあるでしょう。その人は、仕事をするべきですが、そうでない人が、電力も限られ、交通機関のキャパシティも通常より少ない中、社会混乱を引き起こすのに加わってまで社員を定時に会社に来させる意味を私は見つけられません。

上記の質問を聞くことにより、以下の企業姿勢が分かるのではないかと思います。

企業の社会的責任に対する考え方

近年、CSRなどといって、企業の社会的責任によく言及されます。今回のように、社会的に電力が不足する事態においても、各企業が利己的に自分さえ電気が確保されれば良いという姿勢でいるのか、それとも、自分のやっている仕事による社会的なメリット・デメリットも踏まえた上で出社させることにはデメリットが多いと判断して、社員を自宅待機させる決断が出来る会社は本当の意味での社会的責任を理解していると思います。

決断の早さ

ドッグイヤーと呼ばれる近年では、ビジネスをしていく上で決断の早さがますます重要になっています。計画停電がアナウンスされた日曜夜の段階で、週明け月曜日の大混乱が予想されるわけです。素人考えでも瞬時に分かる。しかし、会社経営を考えるとどんな状況でも社員を出社させて会社を動かす方が、少なくとも短期的にはプラスのように見えます。一方、自宅待機を命じるのは短期的にはマイナスのようにも思える。そんな中、即座に決断を下せる企業・経営陣は素早い決断が出来ると考えられる。何も決断せず、ずるずるなにも連絡をせず朝を迎えて、普段なら社員が家を出る時間になってしまうというのが最悪。出社させる、自宅待機させるにかかわらず、素早い決断が出来るかどうかの指標になるはずです。

従業員を大切にしているかどうか

社会的混乱の中、通常よりもひどい社員を疲弊させるラッシュに関係なく定時に会社に出社しろとか、電車が動いてないというわけではないからどう迂回しても会社に来いとかいう会社は社員を大切にしていないと思いますし、トータルで社員の作業効率を上げ会社を活性化させようと考えているのではなく、昭和の根性論が好きな会社ではないかと思います。まして、(東京では健康に影響を与えるほどの問題ではないが)原発の相次ぐトラブルもあり、予期しない停電による出社難民・帰宅難民になる可能性もあり、それによって貴重な人材に損失を与える可能性もあるわけです。こういう中、出社を命じる会社は、極論すれば、自社の従業員を貴重な人材とは考えていなくて交換可能な部品としてしか見てないと言えると思います。

皆様が、よりよい企業選びが出来ますことをお祈りしています。