光市母子殺害事件についての感想

遅ればせながら、この話題に言及したいと思う。今回の死刑という判決は、(マスコミからの報道を鵜呑みにする限り、というか、情報源はそれぐらいしかないのだが)妥当であると思う。法の下の平等という観点から、同じような事例に対しては同じような判決が出るのが望ましく、今回の事件は今までの慣例を破って死刑を打ち出したので、同じような事例に対して違う判決が出たわけであるが、いままでの裁判ではあまりにも硬直的に判決が決められてきたのではないかと思う。2人=無期懲役、3人以上=死刑みたいな。裁判所は、これまでの判例をふまえ、また、ここの事案をふまえて判決を出すべきなのにそういう当然のことが行われず、機械的に判決が生成されてきたのではないかというのが私一般市民から見た感想である。
今回の判決は、本村さん本人が言うように司法が正しくなる一歩のような気がしている。ただし、来年から始まる裁判員になる一般市民に与える影響は考えなくてはいけないと思っている。小泉劇場で分かるように一般市民はマスコミ報道に流されやすいしこれまで大きな判断をしたことがない人が大半であろうから、その場の流れによって容易に刑が決まってしまう風潮になるのは困りものである。とくに、それが死刑判決に関わるという局面ではよりいっそう不安感があるのは確か。今回の裁判は、明らかに弁護団の戦術ミスと、元少年の手紙の流出がマイナスに働いたと思う。被告側の立場から考えると。
ちなみに、この裁判は当初本村さんが無期判決が出た際に「司法が正義を下さないなら、自分自身の手でもと少年を殺して正義を貫く」というような発言をしていて、それに対して私は被害者だから感情的になるのは当然だとしても、ひどく取り乱してカメラに訴えている姿が好きになれず、「勝手に私刑を与えたら?」位に思っていたが、今回の判決後の記者会見を全部ではないが見て、9年間を経て深い見識を持った立派な人間になったなと感じた。自分何様のつもり?的な発言ではありますが。「死刑判決には納得したが、結果として母子と元少年3人を死に追いやる結果になったことは明らかに社会にとって不利益だと思っている」という言葉はなかなか考えが及ぶことじゃないと思う。普通なら死刑判決で満足してるという発言で止まるところ、社会全体を見ての発言を行うようになったまでの経過は、いろいろ大変なことだらけであったであろうこれまでの活動から得られたものを物語っているのではないかと思う。
さいごに、本村さんお疲れ様でした。といっても、被告側は最高裁に上告したのでしばらく続くのかもしれませんが。速攻棄却されると思うけど。